臨床工学技士の放射線被爆について

レントゲン

コメディカルにおいて、放射線に関する資格といえば診療放射線技師が思い浮かぶと思います。放射線技師は、レントゲンを撮ったりなど放射線を取り扱う業務を主とします。臨床工学技士は、放射線を取り扱うことはありませんが、臨床工学技士が活躍する業務においても放射線が使用される場所が多くあります。

具体的には、心臓カテーテル治療での補助業務や、内視鏡治療の補助では放射線を多く使用する為、放射線を被爆する機会が増えてきました。
医療従事者が放射線治療で間接的に受ける受ける放射線量は、健康に影響のない少量と言われますが、放射線疲れといって、心カテ後は、頭痛がしたり、異常に疲れがたまったりするなど、聞くことがあります。はたして、医療従事者が業務中に浴びる放射線量は、安全なのでしょうか?

放射線被爆について

放射線の単位

まず、放射線の影響を理解するには、被爆量を表す単位について知っておく必要があります。グレイ、シーベルトと2種類が使われます。

グレイ(Gy)

放射線の照射により組織が受けるエネルギー量ををグレイ(Gy)で表します。具体的には、1kgの組織が1Jのエネルギーを吸収した場合を1Gy(グレイ)と表します。

シーベルト(Sv)

シーベルトとは、放射線が人体に当たった場合の影響を表す単位です。放射線は、同じ量でも、人体の部分によってダメージが異なります。

放射線によって受けたエネルギーをグレイといいますが、シーベルトは、グレイの値から計算式により、放射線を受けた臓器ごとの影響を計算式により求めた値です。

シーベルト(Sv)=組織グレイの値×放射線加重係数×組織加重係数

上記の計算により、放射線を受けた全身の組織で合計して求めます。

放射線の影響

がんのリスクが上昇

1ミリシーベルトの被爆で、がんで死亡する確率が5%上昇すると報告されています。ただし、同じシーベルトでも、短時間被爆と長時間被爆では影響が異なり、100ミリシーベルト以下の低線量被爆では健康影響は認められていないと報告されています。(放射線防護委員会より)

 妊娠の影響

不妊に関する放射線量はしきい線量というものがあります。しきい線量とは、その値以上の放射線を浴びると1~5%の人に影響が現れる放射線量です。

不妊になるしきい線量は、急性被爆で2500~6000ミリグレイ、慢性被爆で1年200ミリグレイです。

胎児に対する影響

放射線は、妊娠中の妊婦が浴びると胎児に影響して奇形や流産のリスクが上がります。胎児に対する、しきい線量は胎児死亡が受精後2週間以内で100ミリグレイ、形態異常が妊娠7週以内で100ミリグレイ、精神発達異常が妊娠8週から15週で100~200ミリグレイとされます。

ちなみに、妊婦の単純撮影およびCT検査による胎児の被ばく量は0.005~25ミリグレイです。一般的なX線検査では胎児に影響しないことがわかります。

脱毛

男性にとって脱毛(禿げる)ことは、放射線業務を行う上でかなり大きな心配だと思います。実際に、急性被爆においては脱毛することが認められています。

具体的には、急性被爆による、一過性脱毛のしきい線量は3グレイ、永久脱毛のしきい線量は7グレイといわれています。医療従事者がこのような多量の放射線を浴びることははないので放射線業務における脱毛の心配はないと思われます。

ただし、長期的な被爆による脱毛の影響についての論文は見つからなかったため、低線量での長期的な被爆による脱毛の影響は分かりません。ただ、放射線技師でもはげているひとは禿げているし、フサフサノ人は年配者でもふさふさです。低線量被爆では、脱毛しないと個人的には感じます。

防護服

放射線を使用する治療中に医療従事者は鉛入りのエプロンを使用します。鉛入りのエプロンを装着することで被爆線量を1/10程度に軽減できるといわれています。

 

バッチによる被爆線量の測定

放射線医療従事者は、被爆線量を測定する為に、ガラスバッチを装着して、定期的に測定・評価することが医療法で定められています。男性は胸に装着して、女性の場合は、妊娠を考慮して腹部の被爆線量を測定します。

放射線被爆の限度

5年毎に100ミリシーベルト
年間50ミリシーベルト
女子は、3ヶ月で5ミリシーベルト
妊娠中は1ミリシーベルト

これらの放射線被爆を超えると健康上問題があるので、放射線業務ができなくなります。

まとめ

基本的に放射線技師は、離れた位置から放射線を当てるため放射線の被ばく量は年間1ミリシーベルトとかなり少ないよです。それに対して、心臓カテーテルやペースメーカーの植え込みを時は、連続的に放射線を当てて動画を撮影します。その為、患者のすぐそばで執刀しているDrや補助者はかなりの放射線の被曝があるようです。プロテクターでは前面をカバーすることができますが、放射線は反射していろいろな部分から被爆します。近年では、心カテ業務において臨床工学技士がDrの横で直接介助をする施設も多くなりました。

その為、放射線を多量に浴びる治療を行う場合は、前面だけの鉛プロテクターでなく、側面・背面のプロテクターも必要であると考えます。

 

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