β2-MG吸着器『リクセル』の効果とプライミング方法について

<リクセル>

リクセル画像
<KANEKA HPより引用>

リクセルとは

リクセルは、吸着型血液浄化器といって、血液中のβ2-ミクログロブリン(β2-MG)を吸着する吸着器です。リクセルは、血液透析と同時に使用します。

具体的には、透析回路のダイアライザの手前に直列で接続します。リクセルは、β2-MGを吸着して、他の血球成分はほとんど吸着せずに影響を与えないのが長所です。

リクセルは、サイズが3つあります。通常は、最大サイズを使用しますが、心機能が悪い患者は、回路内のプライミングボリュームを抑える為、小さなサイズのものを使用します。

リクセル回路<リクセル添付文書より引用>

<リクセル仕様>

吸着体素材 セチルアミンを固定したセルロースビーズ
プライミング
ボリューム
150,250,350mlの3種類在り
充填液 クエン酸とクエン酸リウムの混合水溶液
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リクセルの保険適用

リクセルは、透析患者なら誰にでも使用できるわけではありません。値段も高価であり、透析時に毎回使用するので、医療費がとても多くかかる為です。

確か償還価格は、22600円です。(平成26年時)1年間使用すると、22600×15(月の透析回数)×12(ヶ月)=406万8千円となります。私の年収とそんなに変わりません。(>_<)

したがってリクセルを、使用するには以下の条件を全て満たす必要があります。

1.関節痛を伴う透析アミロイド症である。
2.手術又は生検により、β2-ミクログロブリンによるアミロイド沈着が確認されている。
3.透析歴が10年以上であり、以前に手根管開放術を受けている。
4.画像診断により骨嚢胞像が認められる。

上記の条件を満たせば、1年間使用できます。1年後も、「3、4」の条件を満たせば、更に1年使用できるので、条件を満たせばずっと使用することができます。

補足

手根管開放術と骨嚢胞ってなんぞや?と思った方の為にそれぞれを簡単に説明します。

・手根管開放術

手首の手根管にアミロイドが沈着して、正中神経が圧迫されて手がしびれる病態を手根管症候群といいます。手根管開放術は、手首のところに小さい切開をおいて、神経の圧迫をとる手術です。

・骨嚢胞

β2-MGによる骨嚢胞は、骨の中にアミロイドが沈着して骨の中が破壊されて骨の中が空洞になる病態です。なぜ、骨の中にアミロイドが入るのかははっきり分かっていません。大腿骨や手根骨に多発します。

上記のように、かなり重い透析アミロイドーシス症の患者にしかリクセルは使用できません。

プライミング方法

プライミングで一番大切なのは、初めからリクセルとダイアライザをつないで、洗浄してはいけません。というのは、リクセルの充填液はクエン酸とクエン酸ナトリウムの混合水溶液が使われています。

クエン酸がダイアライザに流れることにより、ダイアライザが大丈夫という保証ができない為です。おそらく、問題ないと思われますが、ダイアライザはいろいろな膜素材がありこれからも、新しい膜が開発されるのでもしかしたら、クエン酸が流れることにより問題があるダイアライザが存在するといけないからです。

よって、最初はリクセルを単独で洗浄します。具体的には、QB100~150ml/minで洗浄する場合は、生理食塩水1000ml、QB150~500ml/minの場合は、生理食塩水1500mlを流して洗浄すると添付文書に書かれています。

リクセルは、エアーが抜けにくいのでリクセルの入口をつなぐときにしっかりエアーを除去しておく必要があります。

リクセルを洗浄した後に、リクセルと、ダイアライザを付属のチューブで接続して、生理食塩水1000mlを流して洗浄します。後の洗浄は、ダイアライザを洗浄する為です。

ちなみに、返血時はQB50ml/minでゆっくり返すそうです。

リクセルの効果

リクセルの添付文書に記載されている、β2-MGの吸着率は、S-35(最大サイズのリクセル)で平均60~77%程度だそうです。Ⅴ型のダイアライザを使った血液透析やHDFと同等のβ2-MGの除去ができるようです。

まとめ

リクセルを使用するには、重症の透析アミロイド症でなければなりませんが、そもそも透析アミロイド症は、一度なってしまうと完治が難しい病態です。アミロイド症にならない為に、予防の透析が必要であり、アミロイド症になってからリクセルを使っても患者自身は効果を体感できないと思います。

また、HDFやⅤ型のダイアライザを使用した透析のほうがβ2-MGの除去率が高いので、リクセルはコストパフォーマンスが悪いのでは?と思ったりもします。そう考えると、リクセルを使用する患者はかなり限られてきます。

HDFの装置がない施設、血流量が確保できなくてHDFができない患者、アルブミン値が低い為HDFができない患者、などでしょうか。まあ、それ以外にもHDFとリクセルを同時に使って、アクティブにβ2-MGを除去している施設もあるようです。

参考文献:リクセル添付文書、KANEKA MEDICAL HP

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2 件のコメント

  • いつも拝見させて頂きています。
    質問があるのですがよければご存知でしたら教えて頂けないかでしょうか?

    リクセルやリボソーバのプライミング液にクエン酸ナトリウムを使用していますがその理由はなんなのでしょうか?

    LDLでカルシウムが低下するのはクエン酸ナトリウムが原因なんでしょうか?だとしたらプライミングで洗い流しているので下がらないのではないかとも思ったり。

    お時間ありましたら返事お待ちしています。

    • LDL吸着療法では、治療中に抗凝固剤としてACD液を回路から注入します。ACD液は、クエン酸ナトリウムを多く含んでいます。クエン酸ナトリウムは血液中でカルシウムと結合するので、低カルシウムの原因となります。

      リボソーバやリクセルの充填液にクエン酸ナトリウムを充填しているのは、膜の保護と抗凝固の為です。

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