シングルニードル透析の基礎知識

はじめに

血液透析を実施する場合は、脱血側と返血側の2箇所のルートを確保する必要があります。ただし、内シャントの穿刺に失敗して腫脹させたりしまい、「一本しかルートが確保できない」という場合があります。

そういった場合、脱血箇所さえ確保すれば、シングルニードルにより血液透析を施行することができます。

メディキットシングルニードル メディキットHPより引用

シングルニードル透析とは?

シングルニードル透析とは、患者に対して1箇所のルートのみ確保して、血液の脱血と返血を交互に繰り返して透析を実施する方法です。各種のメーカーより方法や原理が異なりますが、基本的には脱血と返血を順番に繰り返すという点については同様です。

シングルニードル透析を実施するには、装置のモードをシングルニードルモードにしたうえで、二股に分かれた専用の穿刺針または、二股のチューブが必要となります。これらの医療材料は、あまり売れないので少し値段が高いのがネックです。

 

 

シングルニードル透析の仕組み

シングルニードルでの脱血と変血の仕組みについて説明します。だだし、これは日機装のDCS-27についての動作なので、他のメーカーでは異なるかもしれません。

脱血


2シングル脱血
日機装の場合は、血液ポンプを回転させて脱血します。脱血中には、返血回路は、クランプされるため返決されません。返血されずに、脱血をするので脱血をするにつれて、回路内の静脈圧が上昇します。

そして、設定した「SN切替圧上限」になるとポンプが停止して、脱血工程が終わり返血工程に切り替わります。

返血


2シングル返血
日機装の場合は、返血時には、血液ポンプが停止します。そして、脱血時に閉塞していたクランプが開放することにより、回路内の上昇した圧力が開放されて、患者に返血されます。

返血されるにしたがって、回路内の圧力が低下します。そして設定した「SN切替圧下限」になると脱血の工程に移行します。

 

シングルニードル透析の注意点

透析効率の低下

確保しているルートが一箇所なので、返血と脱血を数秒ごとに繰り返します。その為、通常の透析と比較して血液の処理量が半分以下となります。

その為、一般的な透析患者に対してシングルニードル透析をしていると透析不足になります。毒素を通常の透析と同様に抜きたい場合は、透析時間を2倍にする必要があります。

穿刺の向き

シングルニードルでは、返血した血液を再び脱血してしまう再循環を避けるために、シャント血流に沿った方向に穿刺する必要があります。

圧力の設定

日機装社製のコンソールの場合は、脱血と返血をきりかえるタイミングを圧力を設定して調整します。脱血と返血の時間がほぼ同様になるように設定しないと、ただでさえ透析効率の低いシングルニードル透析が、さらに効率低下してしまいます。

シングルニードル透析ができるブラッドアクセス

シングルニードル透析が実施できるのは、通常の内シャントが対象となります。表在化動脈では、血管内の圧力が高い為、脱血はできますが、返血が難しいので再循環して難しいのではないかと思います。

グラフトでしたらできると思いますが、グラフとの穿刺は容易なのでそもそもシングルニードル透析を実施することはないと思います。

 

まとめ

シングルニードル透析は、著しく透析効率が低下するので、最後の最後の手段です。通常は、脱血箇所が1つしか確保できなければ、末梢の静脈(手背、反対の手の静脈)などあらゆる箇所の静脈を探して、そこに返血するべきです。そして、それもできなければ、医師にダブルルーメンカテーテルを挿入してもらいます。

ただ、なんらかの理由でカテーテルも挿入できなかったり、これ以上穿刺しないでくれなど、患者に言われた場合、やむをえなく実施する場合があります。


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2 件のコメント

  • はじめまして
    突然すいません。
    私は臨床工学技士の勉強をしている学生ですが、よくこちらのサイトを拝見させていただいて勉強させてもらってます。

    今回メールを送ったのはわからないことがあってさせていただきました。

    シングルニードルの記事で、内シャントの穿刺に失敗して腫脹させた場合に使うと初めの部分で書いてますがこれはどういうことなのでしょうか?

    もし腫れた場合は、次はその箇所より中枢側に穿刺を行うと思って、それなら2本でもいけると思ったのですが、、、、知識不足で申し訳ありません。もしよければ教えていただくと幸いです。

    長文失礼しました。

    • 初めまして。

      「もし腫れた場合は、次はその箇所より中枢側に穿刺を行うと思って、それなら2本でもいけると思ったのですが、、、、」

      その通りなのですが、実際に透析業務をしているとわかると思うのですが、内シャントで穿刺できる部位が限られている患者が多くいます。内シャントが細かったり、深く潜っていて穿刺困難であったりなどです。そうした患者では、穿刺に失敗して腫らしてしまうと、他に穿刺できる場所がなくなってしまう場合があります。

      まあ、そのようなときに使うのもかなり稀ではありますが。

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