特殊な透析療法とは?(隔日透析,オーバーナイト透析,長時間透析)

透析イラスト
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特殊な透析とは

現在の血液透析は、週に3回、1回あたり、4時間の透析を実施することが一般的となっています。この方法が、診療報酬や患者の生命予後に対してコストパフォーマンスが良い方法として広く実施されています。ただし、週3回で1回あたり、4時間の透析では、健常人の腎臓の血液の浄化量と比較すると7%程度の働きしか補うことができていません。

このような一般的な血液透析を実施している透析患者の平均寿命は、健常者のおよそ半分であることが報告されています。透析患者の平均寿命を延ばすためには、決められた透析方法に頼るのではなく、それぞれの患者に適した透析方法を考え実施していく必要があると考えます。今回は、通常の透析以外に、より患者の生命予後を考慮した、特殊な透析方法について紹介します。

 

隔日透析

隔日透析とは、1日おきのサイクルで透析を実施する方法です。通常の透析サイクルは、月水金もしくは、火木土と、決められた曜日に実施します。この方法では、週末に非透析日が2日連続で発生するので、カリウムが上昇したり、体液が貯留するのでおおきなリスクとなります。

毒素の経過

隔日透析では、月→水→金→日→火→木→土→月 といったサイクルで透析します。その為、透析間の間隔が2日空くことがないので、水分制限やリン、BUNなどの管理が容易になります。

難点としては、外来の血液透析での診療報酬では一月に14回の透析と決められているので、14回を超えることになります。14回を超えると、透析に対する診療報酬が請求できず、物品などの材料費のみしか請求することができません。隔日透析をすると月に14~16回の透析を行う必要性がでますので、月に数回は、診療報酬が請求できなくなってしまいます。

日曜日も出勤しなければならないというのが、最大のネックでしょうか。
ただ、数回のみ増えるだけなので、隔日透析の実施はそれほど困難ではないと思われます。

 

短時間頻回透析

短時間頻回透析とは、透析時間を短くして、その分透析を実施する回数を増やすというものです。利点としては、毎日透析をするので血液中の電解質の変化が少ないことと、1日当たりの拘束時間が短くなるという点です。

欠点は、病院に通う回数が増えるため、交通費などのコストが増えることや、穿刺回数が増えることにより内シャントの寿命が短くなる恐れがあります。そして、一番のネックは、診療報酬の問題と、スタッフの労力が増えることが問題になります。短時間頻回透析の実施は、現実的ではありません。

 

深夜透析

深夜透析は、深夜に透析を実施する透析です。寝ている時間に透析をするので、長時間の透析時間を確保することができます。

仕事に影響が出ないので、QOLの上昇に大きく貢献します。そして、透析時間を長くすることが可能なのが最大の長所です。

睡眠を確保するために、定期的な血圧測定ができない為、患者の安全性の問題や、スタッフの確保によるコストの増大が問題になりそうです。

深夜透析では、頻繁に血圧測定ができないので、比較的安定した透析患者に絞られます。また、透析中には、ブラッドボリュームを測定するなどして患者の容体を継続的に観察する必要があります。

実施できる施設も、首都圏にはたくさんありますが、地方では、まだまだ実施していないところが多いです。深夜透析を実施している施設は、『株式会社旅行透析(特集!オーバーナイト透析)』で紹介されていますので探している方は参照してください。

 

長時間透析

長時間透析は、生命予後を改善するために現在の透析治療の中では、最も効果が検証されている透析方法です。

現在、慢性腎不全患者の生命予後を最も改善させることができる治療は、腎移植であり、長時間透析もそれと同等の効果があると報告されています。長時間透析を実施するには、施設の経営方針や治療方針などがありますので、施設により実現できない場合がありますので、事前に透析施設を詳しく調べておく必要があります。

ちなみに、長時間透析の定義は長時間透析研究会によると、『1回6時間以上で、週3回以上の透析を実施すること』とあります。診療報酬では、5時間以上透析をしても、診療報酬は、上がらないため、これ以上の時間を延ばすかは、経営上難しくなってきます。(参照:平成26年度改定血液透析の診療報酬

 

在宅透析

在宅透析は、自宅で行う血液透析です。在宅透析は、患者の負担が大きいという誤解がありますがそんなことはありません。在宅透析では、自分の好きな時間に好きな時間の透析を実施することができるため、長時間透析をしたり、隔日透析をしたり、連日透析をしたりなどの自由があります。在宅血液透析についての詳細は、以前にも投稿していますので、『在宅透析の現状と問題点』を参照してください。

 

まとめ

臨床工学技士の下っ端として働いていると、自分が提供したい透析を実現することができないというもどかしさがあります。現在、多くの施設で実施されている透析療法は、主にコストを重視した透析ばかりです。

実際に、自分や自分の家族が透析を実施すると考えた場合、深夜透析や長時間透析、在宅透析などを選択したいと自分自身は思います。ただ、田舎などの地方では、そのような治療を実施している施設がないため、やりたくてもできません。地域により医療格差があるのは、まぎれもない現実です。

現在は、透析患者の増加は緩やかになりつつありますが、一応上昇しています。10年20年経過すると、透析患者数は減少するといわれています。そうなると、患者を獲得するために、他の施設と差別化するために、それぞれの透析施設が工夫をして、診療報酬にとらわれない、特殊な透析を実施する施設も増加すると思います。

そして、患者に効果的な透析をすることで、透析患者に長生きしてもらうことで、透析クリニック自体の経営も安定するのではないかと思います。透析医療の診療報酬も絞られて、ますます病院経営も苦しくなっていますが、経営が安定していて基礎体力の大きな総合病院や、透析クリニックは、診療報酬にとらわれない、患者に有益で長生きができる透析を実施して、地方でも特殊な透析を受けれるようにしてもらえたらと思います。

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