透析患者のリンの管理方法について

リンを制限するには、タンパク質を控えるなければなりませんが、タンパク質も透析患者にとって必要な栄養素です。

どのようにすれば、充分なタンパク質を取りながら血液中のリン値を適正に保てるのかについて説明します。

透析患者がリンを管理するには?

リンとタンパク質の関係

リンは、タンパク質を含む食品によく含まれる栄養素です。

蛋白質は、炭水化物・脂質と共に、3大栄養素の1つで、体の組織や臓器の構成成分やエネルギー原となります。

蛋白質は、血液中のアルブミンという蛋白質のもとにもなります。アルブミンは、血液中に含まれるたんぱく質うち60%を占めていて、血液中の浸透圧を維持(血管内に水分を引き込む)する働きがあります。アルブミンの値が低下すると、プラズマリフィリングが働かなくなり、透析中に血圧が低下しやすくなります。

蛋白質の摂取量の目安

透析患者の蛋白質の1日の摂取量の目安は、体重1kg当たり、1.2gです。男性で約60g、女性で約50g程になります。

これ以上の、蛋白質を摂取してもアルブミンは増えずに、過剰な蛋白質を分解したときに発生する尿毒素窒素(BUN)リンの過剰につながってしまうので注意が必要です。

血液中のリンが上昇すると異所性石灰化、動脈硬化など重篤な合併症を進行させてしまいます。ちなみに透析前採血のリンの目標値は6.0mg/dl以下です。

透析患者が注意しなければならないリンが多い食べ物

蛋白質を含む食べ物にリンは、含まれます。食材としては、魚・肉・卵・大豆製品などです。ただ、タンパク質も透析患者には必要な栄養素なので食べすぎない範囲でほどほど摂取します。

ちなみに、リンは、1回の透析で1000mg除去されると言われています。また、便からもリンは排出さり1日400mg程排出されます。

したがって、体に余分なリンを貯めない為には、1日600~800mg程度のリンの摂取量にすると良いです。

リンの多く含まれる食事について表にまとめたので参考にしてください。

・リンを多く含む食品(100gあたり)

魚類 しらす干し(470)、ししゃも(430)、わかさぎ(350)、うなぎかば焼(300)
肉類 豚レバー(340)、牛レバー(330)、鶏レバー(320)
卵・乳製品 脱脂粉乳(1000)、プロセスチーズ(730)、黄卵(570)、ヨーグルト(100)
種実類 アーモンド味付け(480)、落花生・いり(390)、バターピーナツ(380)
豆類 きな粉(520)、ゆでたまご(190)、納豆(190)

<血液浄化療法ハンドブック[改定版第6版]P335の表引用>

植物性食品(大豆類・穀類・種実)に含まれるリンは、フィリチン酸といって、人はこれを消化する酵素がないので、吸収されにくく、消化管からの吸収率は20~40%だそうです。

無機リンと有機リンについて

リンには、無機リンと有機リンの2つの種類があります。無機リンは、リン酸塩などのことで、結着剤、乳化剤、酸味料、ph調整剤などの食品添加物に使用されます。

有機リンは、たんぱく質と結合しているリンでお米、肉など天然の素材に含まれるリンです。

無機リンで問題となるのは、体内での吸収率が非常に高いことです。有機リンの腸管内での吸収率が40~60%ですが、無機リンの場合は90%以上です。無機リンを含む食物を食べるとあっという間に、リンの値が上がってしまうのでできるだけ避けるようにしましょう。

味噌、だしの素、ソーセージ、ハム、チーズ、インスタントラーメン、魚肉ソーセージ、かまぼこ、などなど、これらの加工食品には無機リンが含まれるので注意しましょう。

透析患者がリンを減らす方法まとめ

最後に、血中のリン濃度を適切に管理するために必ず覚えておきたい知識をまとめます。これだけは絶対頭に入れておいてください。

  • 蛋白質の過剰摂取を控える(1日男性60g、女性50g
  • 牛乳の摂取を控える(または、低リンミルクを利用する)
  • 肉、魚は蛋白質が多いがリンも多いので食べ過ぎない。(適度な量を摂取する。内臓系は食べない)
  • リンの吸着剤を利用する。(参照:リン吸着剤のまとめ
  • 充分な透析を行いリンを除去する。(参照:透析の条件設定方法
  • ハム、ソーセージなどの加工食品を控える。(リン酸化合物といった食品添加物が多く、これらは、他のリンより吸収率が高い)
  • 宅配弁当を利用するのも有効

 

以上で、蛋白質とリンの説明は終わりです。長期合併症を抑えるためにもしっかりとリン管理をしましょう。

次の記事へ>>>透析患者の食事に役立つ「減塩調味料」について

目次に戻る>>>透析患者の食事管理

スポンサードリンク