透析液の組成について簡潔に説明します

透析液は、各メーカからいろいろな種類が販売されており、透析施設において、透析の粉末を溶解装置で溶かして、水で薄めて適正に濃度を調整して使用しています。

透析液の、成分はNa(ナトリウム)、K(カリウム)、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Cl(クロール)、HCO3(重炭酸)、ブドウ糖などです。それぞれの、濃度がどのようになっているか理由を含めて説明したいと思います。

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透析液の組成

Na(ナトリウム)

血液中のNaの濃度は、135~145mEq/Lです。透析患者さんでもNaは、上昇しないため、透析液のNa濃度は140mEq/Lに設定されています。

K(カリウム)

Kは、食事によって上昇しやすい為、透析患者さんの血液中のK濃度は上昇します。K濃度の基準値は、3.5~5.5mEq/Lです。Kは、心臓の働きに深く関与しているため、Kが上昇すると、不整脈や心停止の恐れがあります。Kは、透析患者さんの場合、Kは除去する必要があるため、透析液中のKの濃度は、2.0Eq/Lに設定されています。

Ca(カルシウム)

透析患者さんでは、血液中のCa濃度も上昇傾向になります。血液中のCa濃度が高くなると、異所性石灰化や二次性副甲状腺機能亢進症の原因となるため、透析患者さんでは、Caを除去する必要があります。

現在市販されている透析液では、Ca濃度は2.0mEq/L、2.5mEq/L、2.75mEq/L、3.0mEq/Lと複数の透析液が市販されています。

Mg(マグネシウム)

Mgは体のエネルギーを造るのを助ける働きがあります。血液中の正常値は、1.4~1.9mEq/Lです。透析液中には、1.0~1.5mEq/L含まれます。

Cl(クロール)

透析液中のClの濃度は110mEq/Lになっています。血液中の、Clの濃度とほぼ同じです。

ブドウ糖

以前は、透析液中にブドウ糖は含まれていませんでした。しかし、近年では糖尿病の透析患者が増えてきたこともあり、透析中にブドウ糖がたくさん除去されて、低血糖を起こすことが増えました。それらの理由で、現在市販の透析液には、100~150mg/dLのブドウ糖が含まれています。

アルカリ化剤

酸性やアルカリ性などといった言葉を日常でも良く耳にします。これは、水素イオンの含まれる濃度のことを言います。水素イオンがたくさん含まれるのを酸性、水素イオンが少ないのがアルカリ性といいます。水素イオンが含まれる濃度をpHで表します。人間の体は、pH7.4の弱酸性です。

透析患者さんでは、腎臓から水素イオン(酸)を排出できないため、体に水素イオンが溜まり、酸性になります。(代謝性アシドーシスと言います。)

そこで、透析液からアルカリ化剤を投与して、体の水素イオン(酸)を除去してやります。透析液の、pHは、7.2~7.4程度に調整します。

アルカリ化剤としては、クエン酸、重炭酸、酢酸などが使用されています。

上記のように、ナトリウム、カリウムなどの電解質は、拡散による濃度差により、除去したり、補給したりしています。その為、除去する物質は、透析液では低く、補給する電解質は、透析液では高く、除去も補給もしない場合は、透析液と血液で同じ濃度にしています。

透析液の良くある質問

P(リン)は透析液に含まれないの?

良く試験問題で出題されますが、リン(P)は、透析液には含まれません。体にある程度必要な物質ですが、透析患者さんはPがかなり上昇しやすい為、透析でたくさん除去しなければならないので、透析液中にPは全く入っていません。

A剤とB剤が分けられている理由は?

透析液は、A剤とB剤をそれぞれ分けて溶かして、使用する直前に、A液とB液を混ぜて濃度を調整して患者さんに送ります。なぜ、A液とB液を分けておく必要があるかというと、CaやMgと炭酸水素ナトリウムが混ぜられて時間がたつと、お互いが反応して炭酸Ca、炭酸Mgができます。これらが固まって、透析液のタンクに溜まってしまい、透析液の濃度が変わってしまいます。その為、A液(他の電解質)とB液(重炭酸ナトリウム)を別々に溶解しています。

まとめ

今回の説明で、なんとなく透析液について分かったでしょうか?臨床工学技士は毎日透析液の濃度を測定していると思いますが、きちっと適正な透析液濃度が頭に入っているでしょうか?

もし、機械の故障や透析液粉末の投入量の間違いがあれば透析液の濃度が全然変わってきます。誤った透析液を使用すると、最悪患者さんの命が危険になります。

しかりと、透析液の濃度の知識を頭に入れて管理することが大切です。

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