腫瘍マーカとは?透析患者と健常者で異なる基準値について

試験管

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近年、日本人の2に1人は一生涯で癌になると言われており、健常人においても癌の発生率は非常に高くなっています。そして、透析患者の場合は、健常人よりさらに癌の発生率が高いといわれています。

その理由としては、慢性腎臓病が癌の発生率を高めると言われてているからです。今回は、血液検査での腫瘍マーカーについて紹介します。腫瘍マーカーは、透析患者と非透析患者では、基準値が異なる項目もあります。透析患者の正常値をしっかり覚えましょう。

 

腫瘍マーカ測定の目的

悪性腫瘍の診断

腫瘍マーカの上昇は癌の診断に使用されます。ただし、腫瘍マーカの上昇は初期癌では上昇しないことが多く、ある程度進行した癌しか発見することができません。実際には、腫瘍マーカーと画像診断や病理検査を併用することで癌の診断を行います。

腫瘍治療の経過観察

腫瘍マーカの値は、癌の深さや広がりとある程度比例関係があるため、抗がん剤治療や・放射線治療などにより癌が小さくなったかを知る目安になります。腫瘍マーカの上昇は、癌が拡大されたり、他に転移したことを疑うことができます。

 

透析患者で良く測定される腫瘍マーカ

AFP

基準値

20ng/ml以下(健常者・透析患者同様)

説明

AFPとは、α-fetoproteinの略称で、胎児性タンパク質の一種です。胎児性タンパク質とは、胎児期にしか発現されない細胞です。癌になると大人でも胎児性タンパクがみられる場合があります。

AFPは主に、肝細胞癌やヨークサック腫瘍(女性の生殖器にできる腫瘍)で上昇して500ng/mを超えます。

他にも、胃癌、肺癌、肝炎などで上昇することもあります。

PIVKAⅡ

基準値

20mAU/ml以下(共通)

説明

PIVKAⅡとはprotein induced by vitamin K adsence or antagonist-Ⅱの略称で、ピブカツーと読みます。

肝臓で合成される凝固活性を持っていない異常なプロトロンビンのことです。主に肝細胞癌において上昇します。

CEA

基準値

2.5ng/ml以下(健常者)
6.9ng/ml以下(透析患者)

 説明

CEAとは、胎児性タンパク質の一種で消化器系の癌の腫瘍マーカとして使われます。大腸癌・膵癌・胆道系癌・胃癌・肺癌などで30~50%の症例で上昇します。幅広い臓器の癌で上昇する為、癌臓器の特定には向きません。癌治療の効果を判定するのに有効です。

CA19-9

基準値

37U/ml以下(健常者)
76U/ml以下(透析患者)

 説明

CA19-9とは、癌関連抗原の一種で膵臓癌・胆道系癌で上昇します。

CA50

基準値

35U/ml以下(健常者)
71U/ml以下(透析患者)

説明

CA50とは、癌関連抗原の一種で膵臓癌・胆道系癌で上昇します。

CA125

基準値

50U/ml(共通)

説明

CA125は卵巣癌において上昇します。子宮体癌・膵癌で上昇することもあります。

CA15-3

基準値

30U/ml(共通)

説明

CA-13は、乳癌の腫瘍マーカとして使用されますが、初期乳癌での陽性率が低く、肺や肝臓に転移している進行性の乳癌で上昇します。その為、癌進行の経過観察や再発の診断に使用されます。

SCC

基準値

1.5ng/ml以下(健常者)
6.5ng/ml以下(透析患者)

説明

SCCとはsquamous cell cancerの略称で、日本語で扁平上皮癌関連抗原といいます。子宮頸癌・食道癌・頭頸部癌・皮膚癌などの扁平上皮癌において上昇します。

PSA

基準値

6ng/ml以下(共通)

 説明

PSAとはprostate specific antigenの略称で日本語で前立腺特異抗原といいます。前立腺癌・前立腺肥大症・前立腺炎で上昇します。

 

まとめ

今回紹介した腫瘍マーカは、透析患者で比較的よく測定されている腫瘍マーカです。透析患者と健常者では基準値が異なる項目があるので注意が必要です。

(参考文献)
改訂3版 患者指導に役立つ透析患者の検査値ハンドブック

透析患者の検査値の読み方 改訂第3版