透析室での超音波エコーの活用について(エコーガイド下穿刺)

超音波エコー

はじめに

バスキュラーアクセス(内シャント)の管理に、超音波エコーが有効です。低侵襲で、簡便、それでいてはっきりした映像を確認できます。

少し前までは、臨床工学技士がエコーを使うことに対して、法律上問題があるのでは?という声もありましたが、技士会よりガイドラインが公開され、臨床工学技士がシャント管理に超音波エコーを用いて良いと明言されました。今回は、シャントエコーガイド下穿刺について紹介しまう。

シャントエコーについて

シャントエコーの現状

臨床工学技士のためのバスキュラーアクセス日常管理指針によると、バスキュラーアクセスの穿刺、もしくは管理に超音波診断装置を利用している施設は49.2%でした。2017年の現時点では、ほとんどの透析施設でバスキュラーアクセス管理に超音波エコーを用いているのではないでしょうか。

当時は、エコーを用いるのに研修をしていなかったり、シャントエコー後の記録を残していなかったり、医師の指示なしでエコーを実施している施設もあり、指針により指摘されていました。

シャントエコーの点数

シャントエコーの点数は、350点、ドップラーで血流を測定すると200点追加することができます。ただし、保険点数を獲得するにはエコーを行い診断をしなければなりません。臨床工学技士ができるのは、観察までです。そこで、臨床工学技士がシャントエコーで作成した記録を参考に医師が診断することにより診療報酬を獲得している。という施設も聞きます。

エコーガイド下穿刺について

エコーガイド下穿刺の適応

穿刺困難症例、再穿刺が多い症例、深部静脈などです。VA日常業務指針では、以下の条件が適応症例として紹介されています。

①挙動する逃げやすい血管
②狭窄や蛇行している血管
③深い血管
④触知不能なほど細く虚脱している血管
⑤屈曲している血管

エコーガイド下穿刺の開始基準と終了基準を設けている施設もあります。「週2回以上の再穿刺、深さ3mm以上の血管」など各項目を点数化してエコーガイド下穿刺を行うかどうかを判断しています。

エコーガイド下穿刺の方法

エコーガイド下穿刺の具体的な手順は、VA日常管理業務指針(P32~)に詳しく紹介されていますので簡単に概要だけを紹介します。

まず、プローブを血管に当てる向きにより、短軸交差法と長軸平衡法があります。
(臨床工学技士のためのバスキュラーアクセス日常管理指針より引用)

短軸交差法は、血管に対して垂直にプローブを当てます。これにより血管が輪切りになった映像が得られます。

短軸法のメリットは、血管と針先の左右の位置関係を把握しやすいという点です。穿刺ミスの多くは、針が血管にあたらない、血管の左右にずれて刺してしまう。という事例が多いです。短軸法では、左右の位置のずれを確認しやすく、再穿刺での針先の位置調整がしやすいです。

ちなみに長軸法での画像はこれ。(総頚動脈のエコーですが・・)
(http://www.us-kensahou-seminar.net/muse10/ch1/sub1/index.htmlより引用)

長軸法では、血管の走行確認、狭窄部位特定などに適した方法です。

長軸法で血管の走行を確認して、穿刺時は、短軸法を用いる方法が一般的なシャントエコーガイド下穿刺の方法です。。

エコーガイド下穿刺の練習

エコーガイド穿刺で必要な技術は、sweep・swing scan走査におる血管走行の確認、針先の特定、針の修正方法などいろいろあります。これらを、模擬血管をを用いて繰り返し練習してから実際の本番に臨みましょう。院内で医師や臨床検査技師などに頼んでエコーの使い方について研修を開いてもらうといいです。

練習用の模擬血管としては、シュミレーショントレーニングパッド(京都化学)、UGP-GELなどがあります。特に、UGP-GELは、人体の軟部組織に近い見え方であり、従来のトレーニングパッドは視認性が良すぎて練習にならない。という問題を解決できるようです。価格も4000円程度だそうです。

書籍としては、透析スタッフのためのバスキュラーアクセス超音波検査が役立ちそうです。エコーだけでなく、VA管理、シャントマッピングなどシャント管理全般にわたる項目が紹介されています。(参照:目次

エコーガイド下穿刺の効果

・リアルタイムで血管画像を確認できることによる穿刺ミスの減少
・患者の血管形状の把握(エコーを使わなくても刺せるようになる)
・経験年数の浅いスタッフでも自信が付く(穿刺ストレスの軽減)

最後に

バスキュラーアクセス管理にシャントエコーは非常に有効です。シャントエコーを用いる前は、シャント狭窄が疑われた場合は、シャント造影を行うことが多かったですが、造影をしたが特に異常はなかった。ということもあり患者さんにとって無駄な負担になることもありました。エコーを活用すると、PTAの最終決断も確実に行えます。

エコーを始めたいけど、買ってくれないという場合は他の診療科から借りてくるという方法もあります。実績を積み上げると、シャントエコー用に購入してくれるかもしれません。新しい技術や方法がどんどん入ってきます。新しいことにどんどんチャレンジして、臨床工学技士の価値を高めていけたらいいなと思います。