臨床工学技士が内シャントエコーをしていい理由(川崎会長の意見を含めて)

今回は、日本臨床工学技士会バスキュラーアクセスの管理ワークショップでの日本臨床工学技士会会長の講演内容である『臨床工学技士によるVAへの穿刺や管理に関する日臨工のスタンス~VA日常管理指針策定の必要性~』についてまとめたレポートを公表します。

臨床工学技士が内シャントエコーをしていい理由と、これからの法律改正や臨床工学技士会の動向が分かります。

法律に、エコー検査が具体的にできると記載されているのは、『臨床検査技師、臨床放射線技師』のみであり、臨床工学技士が内シャントエコーをしていると発表すると、検査技師などから攻撃を受けますがなぜ臨床工学技士がおこなっていいか、知りたい方は、長いですが是非読んでください。

それでは、公演内容を紹介します。

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臨床工学技士法(臨床工学技士)が誕生した経緯

まずは、会長の独特の語り口で臨床工学技士法の誕生した経緯の話から始まりました。

昭和58年に栃木県で透析施設で、透析技士が穿刺をしていることが問題になる。(当時、透析施設では、無資格で透析業務を行っている、透析技士と呼ばれている職員がいた。)
その透析技士が内シャントに穿刺をしていたことが、摘発され裁判が始まった。

『技士が穿刺するのは必然性がある。医療の現場に透析装置があるのは必然性がある。透析技士がいないと、透析ができない。』と、裁判は長引いた。

裁判中の、昭和62年5月に 臨床工学技士法が制定され、裁判が終わった。結局、保助看法違反で罰金1万円ということで決着がついた。

臨床工学技士法の制定理由は

・生命維持管理装置は専門性があり、従来の医療職種では、対応が難しかった。

・これからも工学的技術が投入されてどんどん新しい装置が開発され、それを柔軟に対応する必要がある。

・その当時、透析技士のような無資格で、医療補助行為が行われており、法令上の不備を整える必要があった。

上記の、理由により生命維持管理装置の専門家である臨床工学技士という国家資格がつくられたとのことです。

 

臨床工学技士法の内容には、シャントへの穿刺、操作・監視・記録が初めから含められた。

臨床工学技士の法令に内シャントへの穿刺が含められたことにより、内シャントへの穿刺は、医療補助行為であるということで、看護師も内シャントへの穿刺が行えるということが、明確化された。

当時は、看護師も内シャントへの穿刺ははっきりと認められていなかった。看護師も、内シャントへの穿刺はグレーであり、医師のみ認められていた。

臨床工学技士法が制定されることにより、看護師も穿刺できることが明確化された。

臨床工学技士のシャントエコーについて

日臨工のアンケート結果によると透析施設1858のうち900の施設で超音波エコーが行われている。よって、透析室での機械を管理する臨床工学技士がシャントエコーを管理していかなければならない。

厚労省でも、臨床工学技士は生命維持管理装置の専門家から、医療機器の専門家という考えになっている。薬剤師が、薬品管理室で、薬品を管理するように、臨床工学技士は透析室の機械を管理していくとうように法令解釈で進んでいる。

厚生労働省の『チーム医療の推進に関する検討会』でも職能団体や、関係学会の自主的な取り組みで、医療機器の高度化に対応しながら業務の実施が確保されるべきと言われている。

これに当てはめると、臨床工学技士会の取り組みで、内シャントエコーを行うことができると解釈できる。

また、昔の政府は規制が多かった。今は、規制緩和され、前向きな考えになっており、何か問題があれば司法の場で判断するという流れになっている。

そういうながれにより、時代の流れにより業務の実施を確保る為に、臨床工学技士の業務指針を改正しろと、18年間も、厚生労働省が臨床工学技士会の医事科に押し掛けていた。

そして、やっとこさ、臨床工学技士業務指針2010ができた。臨床工学技士の業務指針ができたことにより、昭和63年の古い業務指針が廃止された。

ネガティブ方式とボジティブ方式

看護師の法律は、具体的な事を行為書いていない。
『医師の指示で診療の補助行為をしていい。医師の指示なしに診療の補助行為をしてはいけない。看護師は、診療をしてはいけない』など、と大まかなことを記載されているだけである。

時代の流れで、やっていいだろうと決めたり、厚生労働省から『通達』がだされて、これは診療補助行為だよ、これは診療補助行為じゃないよと、時代の流れによりる医療現場に合わせて決められている。

検査技師や放射線技師の法律は、看護師とは異なる。たとえば、臨床検査技師では、

臨床検査技士が行っていい生理学的検査は、次に揚げる検査とする。
一、心電図検査
二、心音図検査
三、脳波検査
四、筋電図検査
五、基礎代謝検査

といった具合で、十六個記載されている。

臨床工学技士の場合は
・医師の指示のもと、診療の補助として生命維持管理装置の操作をしてよい。

・生命維持管理装置とは、人の呼吸、循環又は代謝の機能の一部を代替するもの。

・生命維持管理装置の接続をしていい

などと、範疇が生命維持管理装置に限定されているが細かく書かれておらず、看護師の法律表記と似ている。

看護師や臨床工学技士の法律のように、やってはいけないことを明記するのを記載するのを、ネガティブ方式 

検査技師や放射線技士のように、やっていいことを書くのをポジティブ方式という。

自衛隊は、ポジティブ方式でやっていいことだけを書いている。
ネガティブのほうがいいのではないか。いざというときの為に、やってはいけないことを書くほうが、その状況に合わせた柔軟な行動が採れるので合理的ではないかと、話し合っている。ただ今のところはポジティブ方式である。

生命維持管理装置を使うときに、循環機能・代謝・生理学検査・呼吸機能・生理学的な検査のモニタリングは必要不可欠なので、臨床学技士は当初から行っている。

ただ、臨床工学技士法にモニタすることはいいと書いているが、検査していいとは書かれていない。

看護師法は、心電図検査、血液検査についてはなにも書いていない。しかし、看護師はこれらの検査をすることができる。看護師法に書かれていないからできると解釈することができる。

 

個人的な意見

 

上記は、川崎会長の公演をそのまま書いたのではありません。自分なりに解釈して、言葉を付け加えたり、削ったり、言い回しを変えています。

よって、川崎会長の言いいたかったことと異なるかもしれません。参考程度にしてください。

ただ、会長さんも言葉を選びながら慎重に話しておられてましたが、いいたかったことは以下のようなことだと思います。

・臨床工学技士が内シャントエコーを行っていると、臨床検査技師会や放射線技士会など団体から非難されることがあります。臨床工学技士法にシャントエコーをしていいと書いていないのに、シャントエコーをするのは、法律違反だと言われたりします。

これは、川崎会長の意見からすると、われわれ臨床工学技士法は、看護師法と同様で、やったらいけないことを書かれている、ネガティブ方式の法律である。だから、書いていないからこそ、内シャントエコーができる。また、厚生労働省の『チーム医療の推進に関する検討会』でも職能団体や、関係学会の自主的な取り組みで、医療機器の高度化に対応しながら業務の実施が確保されるべきと、臨床工学技士に追い風が吹いている。

現在、臨床工学技士会では、バスキュラーアクセス日常管理指針策定委員会が発足していることから、内シャントエコーを含めた指針が作製されている最中だと思います。

学会や連盟が厚生労働省と連絡をとりながら法改正や、指針を定めて動いていると思えます。近いうちに、内シャントエコーをしてよい。どのように内シャントエコー業務を行うのかという指針がでると思います。

また、指針には臨床工学技士が透析患者に穿刺していい血管の種類についても明記するようです。たとえば、表在化動脈、動脈、抹消の静脈などグレーな部分をはっきりさせるようです。

 

最後に、日本臨床工学技士会および、日本臨床工学技士連盟の頑張りのおかげで、われわれの業務が広がったり、地位向上にとても貢献していただいていると思います。
日本臨床工学技士会及び、日本臨床工学技士連盟に入会されていない方は、自分たちの将来の為にも是非、入会しましょう。

 

下の写真は、日本臨床工学技士会が開催された、福岡国際会議場の裏の港で撮った写真です。福岡は、とても楽しい町でした。
福岡国際会議場


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2 件のコメント

  • TAKAさん、こんにちわ。

    透析従事するMEのエコー業務に関してなのですが、

    透析室での機械を管理する臨床工学技士がシャントエコーを管理していかなければならない。

    厚労省でも、臨床工学技士は生命維持管理装置の専門家から、医療機器の専門家という考えになっている。

    ということが述べられていますが、私の考えでは、透析室での「機器」の管理ですよね。なので、超音波診断装置のメンテナンスは業務範囲内と思います。
    しかし、機器を用いた診療行為に関しては話が別なのではないかと考えています。

    生命維持管理装置の専門家から医療機器の専門家への変遷に関しましても、医療「機器」の専門家ですよね。診療行為の専門家とは明記がありません。

    ネガティブな記載というものもまた難しく、それなら、透析の針を刺す行為は認められているから、血ガス計や自動分析装置などの医療機器を用いて行う一般血液検査のための採血も記されていないからいけると考えるのでは、他職種の業務を無理やり奪っているのではないでしょうか。これは検査技師さんから非難轟々でしょう。

    我々臨床工学技士には専売業務がなく、やりたい放題になっていくのではないかと、ここのところの学会発表や著名人のお話を聞くと、少し不安になると感じております。

    • やりたい放題になっているとは思いませんが。臨床工学技士の将来・現状に不安があるため地位確立のために頑張っているのではないでしょうか。

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