透析液の生菌とET(エンドトキシン)を測定する理由は?

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透析液の清浄度の検査

透析液の清浄化は、透析患者の微少炎症を防いで生命予後を改善すると言われています。その効果は認められて現在では、一定の透析液の清浄度を保っている施設では、「透析液清浄化加算」という診療報酬を得ることができます。

さて、透析液の清浄化を測定する上では、ET濃度測定、生菌数の測定の2つを行っていると思いますが、なぜETと生菌の2つを測定しなければならないか説明できるでしょうか?その理由について今回は簡単に紹介したいと思います。

 

ETと生菌を測定する理由

ETと生菌の2つを調べないといけない理由は、ETと生菌が別物だと言うことだからです。それぞれの特徴を簡単に紹介します。

ETとは

ET(エンドトキシン)は、グラム陰性細菌の細胞壁など、細菌の死骸のの一部分です。ETには、生体にとって非常に有害であり高濃度のETが体内に入ると、ショック・発熱・血圧低下など様々な影響を及ぼします。

低濃度のETであっても、微少炎症に関与して透析アミロイドーシス、貧血、動脈硬化などを促進するといわれています。

ちなみにETの測定には、カブトガニの血球摘出液(LAL)から調整された、ET測定試薬とETが混ざるとゲル化する反応速度を確認して測定します。wako社のトキシノメーターにて測定することが可能です。

生菌とは

透析液の生菌を調べるうえで、ターゲットとしている菌は『従属栄養細菌』と呼ばれる生菌です。この生菌は、水環境のような栄養源が乏しい場所に適用した菌であり、透析液中で増殖しやすい生菌です。従属栄養細菌由来の物質はET測定キットでは検出不十分である為、生菌検査を別で行う必要があります。

透析での生菌測定には、3.7mmクオリティーモニタにて、透析液を濾過した後に、R2A培地(有機物を低濃度含む培地)を濾過して、25℃で一週間程度培養して、菌を増殖させます。
クオリティーモニタ

菌がいる場合は、菌が増殖して集落を形成して目視で確認できるようになります。この集落をコロニーなどと呼び、この個数を数えて透析液の清浄度を調べます。

生菌(http://oompa-de-loompa.blogspot.jp/2014/08/37mm.htmlより)

 

透析液の清浄化基準値

透析液の清浄化の基準値は、透析医学会(透析液水質基準と血液浄化志納評価基準2008)または、日本臨床工学技士会の透析液清浄化ガイドラインVer.2.01により公表されています。

透析医学会と日本臨床工学技士会の基準値ではやや異なる点がありますが、日臨工の基準のほうが厳しかったと記憶しています。

ちなみに、オンライン透析を施行するための補充液の基準値は、ETで0.001EU/ml未満、生菌数10-6CFU/ml未満(透析液清浄化ガイドラインVer.2.01より)です。