ウェルニッケ脳症とは!?透析患者のビタミンB1欠乏症に注意

脳

はじめに

透析患者さんは、食事制限や血液透析によりビタミンなど体内で必要な栄養素が不足しがちになります。一回の透析で葉酸は37%、ビタミンB1は6%低下すると報告されています。

ビタミンB1の不足では、「ウェルニッケ脳症」の原因となります。今回は、透析患者さんの注意したい合併症であるウェルニッケ脳症の症状と治療法について紹介します。

ウェルニッケ脳症とは

病態

ウェルニッケ脳症とは、ビタミンB1不足により引き起こされる、脳障害です。ビタミンB1は細胞のエネルギー産生を助ける(ブドウ糖代謝)の補酵素の役割があります。

アルコールの過剰摂取、食欲不振、胃切除後の吸収障害、または発熱、炎症、高血糖などによる需要亢進により不足することがあります。欠乏症には、末梢神経障害である『脚気』と、中枢神経障害のウェルニッケ脳症があります。

症状

ウェルニッケ脳症の3大症状としては以下の症状があります。

  1. 意識障害・精神症状(傾眠、集中力低下、せん妄、錯乱状態、昏睡)
  2. 眼球運動障害
  3. 運動失調

これらのすべての症状が現れるのは、全体の2割程度でこの中のどれかの一部の症状が現れることが多いです。さらに症状が進行すると、記銘力障害、失見当識、作話などアルツハイマー病のような記憶障害をきたすことがあります。

所見

頭部MRIでは、中脳水道、乳頭体、視床内側、小脳半球、小脳中部、海場に異常が見られやすい。急性期は浮腫性変化、慢性期のコルサコフ症候群では萎縮を認めます。

※更に詳しくはHospitalist~病院総合診療医~が参考になります。

治療方法

治療は早急性が求められます。軽度の意識障害、複視(物が二重に見れる)、歩行障害など一つでもウェルニッケ脳症を疑う所見があるときは、ビタミンB1血中濃度測定の結果を待たず、高容量のビタミンB1(100~200mg)を静脈投与します。ビタミンB1の補充により、外眼球麻痺は数時間、運動障害、意識障害は数日から1週間、精神障害は2~3週間で改善傾向を示すと報告されています。

ただし、記憶と学習障害に関しては治療効果が表れにくく、他の認知機能障害が現れた場合は、コルサコフ症候群に移行したと考えれます。コルサコフ症候群まで進行すると確立した治療方法がない為、早期治療することが大切です。

最後に

透析患者では、ビタミンなどのミネラル不足が起こりやすく、葉酸やビタミンB12の不足で起こる巨赤芽球性貧血、そして今回紹介したビタミンB1の不足により発症するウェルニッケ脳症などがあります。

普段、透析患者と長く接する看護師や技士のほうが患者のちょっとした異変に気付きやすいのでそのような疾患が疑われる場合は、早めに担当医に報告して早期治療できるように心がけましょう。

(参考文献・引用)

臨床透析2013.9.29No10

スポンサードリンク