腎移植の現状について!腎移植をするには?

腎移植の現状

はじめに

末期腎不全の治療で最も、生命予後が良い(長生きできる)のは腎臓移植ということは、もはや常識となっています。しかし、日本では腎臓移植がなかなか広まりません。私の勤務する病院では約100人の透析患者さんがいますが、腎移植をするのは年間1人か2人程度です。

もっと、看護師、臨床工学技士、Drが腎移植についての知識をもち、積極的に患者さんに勧めることができるよう、腎移植についての知識を高めてもらえたらいいなと思います。
今回は、『生体腎移植と献腎移植の違い』、『腎移植の現状』について説明します。

生体腎移植と献腎移植

腎移植は、生体腎移植と献腎移植に分けられます。

生体腎移植

生体腎移植とは、生きている人から腎臓を受け取る方法です。提供者は6親等以内の親族、3親等以内の姻族までです。

生体腎移植の利点

・移植の日程をあらかじめ決めることができる
・血液型不適合腎移植等でも移植が可能。
(血液型不適合でも移植前に、免疫抑制療法や血漿交換療法などを行い移植することができます。)
・提供される腎臓の状態がよいので、献腎移植と比べると生着率が約10%ほど高い。
・移植直後から尿がでる

生体腎移植の欠点

・健康なドナーに腎摘出という手術が必要です。
(手術にはリスクがありまた、ドナーも生涯にわたり腎機能をはじめとした定期受診を受け続ける必要がでます。)
・腎臓が1つになると腎機能は2、3割低下する。
(ただし、腎臓が一つになったことで、生存率が下がることはないようです。)

ドナーになれる人

・腎機能が良好で腎臓の病気がない
・全身性の悪性腫瘍がない
・潜在的な感染症(B・C型肝炎ウイルス、成人T細胞白血病ウイルス、エイズウイルスなど)がないこと
・心肺機能など全身麻酔、手術の実施に耐えられること。
・年齢は、70歳以下が望ましい。
・ドナーは、原則として6親等以内の血族または、配偶者と3親等以内のいん族であること。
・提供者の自発的な意思に基づき、強制を伴わないこと。
・金銭の授受(じゅじゅ)など利益供与が疑われないことです。
・血液型が異なる場合は、移植前に、抗体を除去したり、抗体産生を抑制する薬剤を使用し、移植できます。
・高血圧や妊娠を予定していたり、70歳以上の方は要検討です。

献腎移植

献腎移植とは、心停止後または、脳死者から腎臓を受け取る方法です。

献腎移植の利点

・健康な人の手術が不要
・献腎移植のレシピエント選択基準はHLA適合度が最優先されるので、組織適合性が良好

献腎移植の欠点

・提供者がきわめて少なく、献腎移植希望者の平均待機期間は15年です。
・移植直後から尿がでることは少なく、移植後もしばらく透析が必要です。

2011年の献腎移植希望の待機者は、12089人ですが、2010年に献腎移植を受けた方は209名と待機者の2%である。

腎移植の現状

米国の腎移植の現状

米国での末期腎不全の治療の第一選択は、腎移植であり、年間約17000件の腎移植が行われています。米国では2008年には腎移植数は17350名で(生体腎移植:5968名、献腎移植11382名)行われています。

米国の全末期腎不全患者は、約54万名おり、69.8%が透析、30.2%が腎移植していてます。特に、44歳以下では50%が腎移植を行っています。

日本の腎移植の現状

日本の末期腎不全患者の大半は、血液透析療法を行っています。腎移植をしているのは、全末期腎不全患者の4%弱と推測されています。

2009年度のデータでは、1312名が腎移植を行い、1123名が、生体腎移植、189名が献腎移植を行っています。米国と比べて、献腎移植の比率が著しく低いのが特徴です。

我が国の腎移植施設は136施設あり、年間20件以上の移植を行っている施設は17施設あります。この17の施設で50%以上の腎移植が行われています。腎移植を専門に行っている施設が少なく、移植専門医が少ないのが、腎移植が普及しない原因の一つと考えられています。

腎移植の成績について

新しい免疫抑制剤の登場、組織適合性検査の進歩により急性拒絶反応が的確に抑えられ、腎移植の成績は向上しています。

移植した腎臓が機能する年数を生着率といいます。

『生着率』 症例数 1年 5年 10年 15年 20年
生体腎 12807人 94 83 67 53 41
献腎 3912人 83 67 52 39 31

生着率は、1年目から10%の差があり、15年後では15%の差があり、生体腎移植の方が献腎移植より10~15%良好でした。
献腎移植が生体腎移植より劣るのは、心停止後など悪条件で腎臓が取り出され、移植腎機能が全く発現しない場合があること、他に、献腎移植希望者の待機年数が長く、いろいろな透析合併症の多いレシピエント(受腎者)であることが理由であると考えられています。

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