はじめに
透析監視装置は、血液が飛散したり、血液が付着した手で触れる可能性が高く、透析毎に清拭するようにガイドラインに定められています。(参照:透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン)
清拭用品は、各メーカーよりいろいろと発売され、値段や成分なども様々です。今回は、各メーカーの清拭用品を紹介します。
清拭用品一覧
トレシー

トレシーは、TORAY社が開発した清拭クロスです。
この清拭クロスは、直径約2マイクロメートルの超極細繊維でつくられており、拭き取り面に密着して汚れをとらえ、毛細管現象により汚れを吸着除去することができます。
クロスには特に薬剤などは含まれていないそうですが非常に除菌効果が高いと報告されています。
アムクリーンA
アムクリーンAは、透析配管洗浄剤で有名な、アムテック社が販売している洗浄剤です。エタノールと陽イオン・非イオン界面活性剤を複合的に組み合わせられて作成されています。スプレーを塗布して、ふき取ることで除菌します。
細菌・真菌・ウイルス(HBV・HCV・HIV)に対して除菌・不活性効果を保持するそうです。
ルビスタ

主成分は、ペルオキソー硫酸水素カリウム(酸化剤)と塩化ナトリウムです。この2つが反応すると次亜塩素酸という非常に強力な除菌作用のある物質に変化します。この反応を繰り返し行うため、除菌作用時間が長く、細菌以外にもウイルスに対しても効果的です。透析室での、肝炎患者の使用する装置にの清拭には有効だと思います。塩素系の洗浄剤ですが塩素臭がありません。プラスチックに影響はないとのことです。
個人的にも使った経験がありますが、ペーパーがしっかりしていてコンソールの清拭がやりやすかったです。ただ、薬液がペーパーにしみこみすぎていて画面に薬液の液垂の後が残りやすい、そして価格が高いというのが気になります。
セイフキープ
除菌成分として、クリンキーパーと同様でジデシルジメチルアンモニウム(第4級アンモニウム塩)が使用されています。さらに洗浄成分として、AG(アルキルグリコシド)、AAO(アルキルアミンオキシド)が含まれ、これらの成分は、皮脂汚れ、体液、血液の除去に有効ということです。
ペーパーが薄くて小さいのでルビスタと比較するとコンソールが拭きにくいです。ただ、コスパがいいので多くの透析室で使用されています。
注意点としては、ポリカーボネートには使用できないということです。第4級アンモニウム塩は、ポリカーボネートを劣化させます。ニプロのコンソールの血液ポンプカバーは、ポリカーボネートを使用しており第4級アンモニウム塩を含む薬剤の使用でひび割れが発生したという報告があります。他にも、ニプロの気泡検知器のセンサー部などもポリカーボネートを使用しているそうです。
クリンキーパー
kao社の洗浄・除菌用の洗浄剤です。セイフキープのボトルタイプだと思われます。
除菌成分には、ジデシルジメチルアンモニウム(第4級アンモニウム塩)が使われています。非塩素形成分の為、プラスチック・金属(ポリカーボネート及び銅を除く)などを痛めにくいそうです。
コストの比較
コンソールの清拭で使用する場合のコスト考えた場合は、以下の順番になります。
トレシー>ルビスタ>アムクリーンA>セイフキープ>クリーンキーパー
トレシーやルビスタは、1枚当たりの価格が、7~8円です。想像よりも高い印象を受けます。透析室ではコンソール、オーバーテーブルの清拭などに多量に使用するので、月単位、年単位で考える大きなコストの違いになりそうです。
洗浄効果
コンソールの操作パネルを清拭した場合の単純なATP減少率の比較(ルミテスターPD-20による)では以下の順番になったそうです。
トレシー>クリーンキーパー>アムクリーンA>ルビスタ>セイフキープ
どれも高い除菌効果があったそうです。
まとめ
いろいろな、除菌用品がありますが除菌効果についてはどれも有効でした。コストを考えて、使用用途により使い分けるのが最も効率の良い使い方だと思います。
例えば、肝炎患者の使用コンソールは、ウイルスの除菌効果の高いルビスタなど次亜塩素系の薬剤を使う。その他は、安価な清拭用品を使うなどといった使い方です。