今回は、現在(2015年時点)でのHHD(在宅血液透析)の実施で得られる診療報酬と患者側の大まかな金銭的な負担について紹介します。HHDについての基礎知識は『在宅血液透析の現状と問題点』を参照してください。
HHDにおける診療報酬・材料費
診療報酬
【慢性維持透析指導管理料】
1回目 8000点
2目目 2000点(HHD開始から2カ月目まで)
外来指導管理とは、患者が外来受診して指導することで得られる診療報酬です。
外来指導管理料が、月に1回もしくは、2回請求することが可能です。
【透析液供給加算料】
10000点(月1回)
医療材料について
【償還される材料】
ダイアライザ、透析液、抗凝固剤は、保険請求で償還される為、病院の負担はない。
【償還なし材料】
消毒薬、穿刺針、穿刺キット、エンドトキシンカットフィルタ、保険請求で償還されない為、病院負担となります。
以上の通り、病院がHHDで得られる診療報酬は、月一回の慢性維持透析指導管理料(8000点)と透析液供給加算量(10000点)の合計18000点(18万円)となります。
一見すると、毎月18万円の診療報酬を得られるので、病院としては十分な利益を得られるように感じます。確かに、HHDに患者がなれて安定してくれば、多少の利益が出ますが、それまでにたくさんの人件費がかかります。
たとえば、HHDにおいて、必ず病院側が実施しなければいけないことは以下のようなことがあります。しかし、これらは全て診療報酬で定められていない為、病院の全額負担となります。
・家庭訪問(HHDができる環境があるか確認する為)
・HHD導入に対する知識・技術の指導(2~3カ月必要)
・機器搬入の立会
・透析液水質調査
・ETフィルタの交換
そして、透析装置のリース料も病院の負担になります。リース料は、8万円前後と高額です。
患者の金銭的負担
初期工事
HHDを施行するには、たくさんの水道水を使ったり、電気をたくさん消費する為、電気や上下水道の工事が必要です。これらの費用は全て患者負担になります。この工事費の平均は、34万円(臨床透析より)
水道料金・電気代
電気代も、患者の全額負担となります。負担増額は、月当たり1~3万円程度になります。自治体により水道料金の値段は大きく異なる為、負担額の差が大きいようです。また自治体によっては、HHDを施行する場合は、水道料金の割引制度があるようです。
まとめ
HHDの導入は、病院での維持透析と比較すると多少負担が大きいですが、思ったほどは高くないと思われます。
実施するには、「本人や家族が透析をする技術・知識を身につけること」、「近辺にHHDを実施している施設があること」が絶対条件になるように思います。